General MIDI (GM)
演奏情報を記録しただけの MIDIファイルは、楽器の演奏を保留したもの、と考えることができます。 100% 音楽制作者の意図した音で鑑賞する為には、 あなたの手許に音楽制作者が使用したものと同じ楽器がなければならないのです。
スタンダード MIDIファイル(以下 MIDIファイル)を音楽作品の配布媒体として考えた場合、 必要な音源設定は自動的に実施するのが望ましい、と言えます。 ただ単に再生するだけで鑑賞出来るようにする、という意味です。
MIDI音源は基本的には、ROMに焼き込んで作成済の音色を呼び出して使うタイプ(プリセット・タイプ)のシンセサイザーですから、
演奏させる前に必要な音色を呼び出しておく等の設定しておかなければなりません。
そこで、MIDIファイルの中には、演奏データの再生の前に必要な設定が自動的に行われるように、
最低でも次のコントロール情報を先頭に挿入しておくことになります(括弧内は使用する MIDIメッセージの名称です)。
- 音色の呼び出し (プログラム・チェンジ)
- 呼び出した音色の音量 (メイン・ボリューム)
- 呼び出した音色が発音する左右の位置 (パンポット)
この3つのうちでは、"音色の呼び出し"が問題となります。MIDI機器の音色呼出しは1〜128までの音色番号によって行いますが、 MIDI規格では番号に対応する音色が定められているわけではないのです。
そこで、MIDI対応機器をある程度規格化しよう、ということで定められたのがGeneral MIDIシステム・レベル1 という規格で、通常はこれを単に General MIDI(GMと略す)と呼んでいます。 そして、これに対応した MIDI機器に下のようなロゴが付けられているのです。
このロゴは MIDI機器の他に、GM対応機器で鳴らすように作成された演奏データ(SMFである必要はありません)にも使うことが許されています。
MIDI機器の GMロゴは、その機器が GMに対応している、または対応した演奏モードを持っていることを示し、 市販の SMFのパッケージに印刷されているGMロゴは、それが GM機器で鳴らすことができることを示しているわけです。
GMでは、音色番号(プログラム・ナンバー)と楽器音の対応は定められています。これをGMサウンド・セットと呼びます。
楽器音の中にはかなり抽象的なものが含まれているいます。これらは厳密なものではなく、メーカに解釈を任せている部分がかなりあります。 現に安価なサウンド・カードでは、GM対応を謳っていても、例えば001〜004番までのピアノの音色はすべて同じ、といったものもあります。
GMで重要なものに、リズム音色の鍵盤へのアサインがあります。
プリセット・タイプのシンセサイザーの場合、 ドラムやラテンパーカッションなどのリズム楽器の音色は鍵盤上の各キー(実際には Note Numberに対して)にアサインされていていますが、GMでは、これも統一されています。これをGMパーカッション・マップと呼びます。
なお、 GMではMIDIチャンネル10番はリズム楽器専用になっていて、ピアノ等の音色に設定することはできません。
GMで定められている事項は他にもありますが、ここではGMで受信が義務づけられている MIDIメッセージの紹介にとどめます。
- ノート・オン/オフ
- プログラム・チェンジ
- モジュレーション・デプス(MIDIチャンネル10番の場合は受信しなくてよい)
- メイン・ボリューム
- パンポット(MIDIチャンネル10番の場合は受信しなくてよい)
- エクスプレッション
- ホールド1(ダンパー)
- RPN ,データ・エントリー
- モード・メッセージ
- ピッチ・ベンド(MIDIチャンネル10番の場合は受信しなくてよい)
- チャンネル・プレッシャー
- GMシステム・メッセージ