CASE 5 DAWの選定 -Pro Toolsの立ち位置- 

現在はDAWと呼ばれるソウトウェアは機能面でみればどれも大差なく、できる事ではどれも同じようなものです。 でも、一言でDAWと括られていても、Pro Toolsとその他のDAW(Logic, Cubase など)では少々立ち位置が違います
そんな中、DTMをはじめようという未経験者がいきなりPro Toolsを購入するのを耳にすると、おおいに違和感を感じてしまいます。 いや、目的によっては寄り道せず最初からPro Toolsを導入すべきではあるとは思いますが。

営業スタジオの常設機材としてのDAW

ミキシングエンジニアを目指す人が最初からPro Toolsを導入するのは賛成です。 営業スタジオの常設機材としてのDAWは、ほぼ100%がPro Toolsだと思われるからです。
CubaseやLogicを置いてるところもあるでしょうけが、それとは別にちゃんとPro Toolsを置いてると思います。
そのため、ミキシングエンジニアを目指しているのなら、ほとんどの現場で使われるであろうPro Toolsを学ぶのは必須だと思います。

なぜ営業スタジオの常設DAWはPro Toolsなのか

これは何故か?これは時代の流れです。録音スタジオならどこでも常設していた業務用マルチトラックレコーダーがPro Toolsに置き換わりました
細かいことを言えばテープからハードディスクへのメディアの進化や専用ハードウェアからパソコンベースのシステムへの変遷などの要因でメーカーが撤退したということなのでしょうけど、 結果的に画像のようなMTRを置いていたスタジオには必ずPro Toolsがあるという状況になりました。


Pro Toolsの出自

ではなぜ業務用MTRがLogicやCubaseに置き換わらなかったかというと、昔はMTRとしての性能が弱かったからです。 Pro Toolsは波形編集ソフトからハードディスク録音ソフトとして進化して今日に至っています。 ハードディスクを使うデジタルレコーダーとしては最右翼のだったので業務用MTRの代替としては唯一無二の存在だったと思われます。

一方のLogicやCubaseはMIDIシーケンサーから進化しました。だからこれらのユーザーには夜な夜な曲を作っていたような人が多いと思います。
そんなことから、自宅でLogicやCubaseで曲を練り上げて、スタジオのPro Toolsで録る、そんな棲み分けが出来てます。
また、現在のPro ToolsはMIDI周りも充実してるので、「どうせスタジオのPro Toolsで録るのなら、 家での作業もPro Toolsで行えば楽曲データをそのまま持ち込めるので便利」っていうケースも多いと思います。

そのようなことから、DAWシェアの統計をとるとき、Pro ToolsをLogic、CubaseやStudio Oneを一緒にして並べてしまうと実像がボケてしまうと思います。

Pro Toolsは大きく分けて二種類

なお、ここでいう営業スタジオにあるPro Toolsとは専用のハードを使うPro Tools HD, HDXなどの事です。もともとのPro Toolsは大変高価なもので、素人がおいそれと買える代物ではありませんでした。

現在はそのPro Toolsを専用ハードウェアから切り離して、普通の安価なオーディオインタフェースで使えるようにしたものが安いPro Toolsです(フリーのものもあるようです)。 これが登場したことでアマチュアの間でもシェアを広げた経緯にあるようです。
Pro Toolsのラインアップの詳細はメーカーであるAVIDのサイトを参照してください。サブスクのからみもあってか、ちょっと複雑です。



〔2021.6.28 新規掲載〕