ケース3.
「世界4大シーケンスソフト」時代(90年代)からの復帰
あの頃のDTMとは随分違っているみたいだけど....
〜アマチュアの音楽制作環境は今どうなっているのか〜
はじめに
その昔、1990年代のある時期に「4大シーケンスソフト」というものがありました。代表的な4つのMIDIシーケンシング・ソフトウェアがシェアを競っていたんです。
以下の4つです。
- Performer(パフォーマー)
- Vision(ビジョン)
- Logic(ロジック)
- CUBASE(キューベース)
この記事はこれらのソフトウェアが単なるMIDIシーケンサーにすぎなかったころに音楽制作を一旦卒業し、
最近になって「また始めようかなあ」と考えている人たちに対する知識の補完、
つまり約20年のブランクを埋めるための一助として作成するものです。
なんせ当時とは大幅に様変わりしてますから。
ある程度のボリュームになりそうなので、記事の制作は不定期連載の形をとり、ある程度出来上がった都度アップロードしていきます。
その1:MIDIシーケンスソフトはどう進化したか。DAWとは何か
その2:で、件の4大シーケンスソフト達は今どうなっているか
その3:そんな中で、MIDI規格は今どうなっているのか
その4:それじゃあ、諸々のアレは今はどうなっているのか
- (1) MIDIシーケンサー(ハードウェア)はどうなった?
- (2) MIDIシーケンスソフトはどうなった?
- (3) Sound CanvasシリーズなどのDTM用音源もジュールはどうなった?
- (4) シンセサイザーはどうなった?
- (5) サンプラーはどうなった?
- (6) MIDIインタフェースはどうなった?
- (7) マルチトラックレコーダー(MTR)はどうなった?
- (8) エフェクターやミキサーはどうなった?
- (9) マスターレコーダーはどうなった?
- (10) スタンダードMIDIファイルを配布する文化はどうなった?
- ーMIDIファイルを作成、配布する文化はどうなったか
その5:オーディオインタフェースについて
その6:プラグインとは何か
その7:コスト(必要な機材例とお金の話)
その8:”DTM”の意味するところ
1980年代の終わりころに始まり、Windows95でのパソコン普及によってある程度の流行りを見せた「DTM (Desktop Music)」ですが、
同じころに Performer や Vision を使っていたアマチュア音楽家はこれを横目で見ていたのではないでしょうか。
かくいう筆者も自分の音楽活動を「DTM」と言われることには抵抗を覚えていたものです。
90年代頃のDTM環境
でも、これまで解説したように、出来ることには大きな違いがあるものの、パソコンとDAWを中心とした今日の音楽制作環境は見た目にもコスト的にも昔のDTMとほとんど変わりません。
DAWを中心とした音楽制作環境
そんなこともあってか、生楽器演奏活動を除けば、音楽制作の一連のプロセスの中で録音などにパソコンを使っていさえすれば何でも「DTM」呼ぶようになってきました。
スマホで音楽を作ることを「DTM」と呼ぶ人さえいます。
つまり、「自分で音楽を作る」活動はすべて「DTM」と呼ぶような傾向があります。
だから「DTM」という言葉を聴いたとき、90年代のそれとは別物と理解しておいた方が良いと思います。
16, 24チャンネルを超えるような大きなハードウェアのMTRは今はもうなく、録音機材はPCベースものしかありません。そしてそれもDTMとして括られてしまいます。
DTM以外にアマチュアのプライベートでの音楽制作環境はもうないんです。
そんな時代背景もあって当サイトもあえて「DTM」をサイト名に含めています。
長年のブランクを経て、このコロナ禍を良い機会にして再び音楽制作を再開しようという人(おじさん?)にとって、まずは言葉のギャップを克服する必要があるかもしれません。
あなた:20数年ぶりにオリジナル音楽制作を再開したいのだけど、何を揃えれば良いのかな?
店員:あ、DTMですね
あなた:いやDTMじゃなくて、ギター弾いて歌ったりもしたいんです
店員:ですからDTMですよね
あなた:いや、ミュージ郎みたいなやつとは少し違うんですよ。多重録音もするのですけど
店員:DTMの機材で良いと思うんですけどね....
みたいなことにならないように願いつつ。
〔2021.1.17 新規掲載、2021.5.1 最終更新〕