その7:コスト(必要な機材例とお金の話)
ここでは今時のアマチュアの音楽制作環境を具体的な機材例とコスト面で考えてみます。
パソコンはWindows。 パソコン以外のハードウェアは比較的始めやすい安価なもののなかから、それなりに長く使えそうなものを選んでみました。 DAWに関しては、いにしえの4大シーケンスソフトのひとつである Cubase の最上位グレードの現行バージョンの場合を例として挙げました。
画像:機器構成のイメージ
パソコン
音楽作品の作り方や曲の種類に大きく左右されますが、パソコンに求められる最低限のスペックは以下のような感じです。 昔のMIDIシーケンスソフト時代はそれほど高い性能は必要ありませんでしたが、オーディオ処理も扱うDAWではそれなりのスペックが必要です。
- CPU:Intelの場合はi5以上
- メモリ:16GBを最低ラインとするのが無難
- ストレージ:1TGを最低ラインとするのが無難。HDDの場合は7,200rpmが必須
- ディスプレイ:大きい方が有利なのはお分かりだと思います
- 参考価格:15万円程度としておきます
DAW
先に書いた通り、DAWはCubase Pro 11をあげました。 選定の理由は筆者自身がCubaseユーザーであるため情報を収集しやすいためです。 CubaseでなくてもメジャーなDAWならどれも同等のことが可能だと思われます。
- 商品:Steinberg Cubase Pro 11
- 参考価格:\55,000 前後
画像:Cubase
MIDIキーボード
打ち込み用に鍵盤が必要としておきます。製品としてRolandの標準鍵盤のMIDIキーボード・コントローラーをあげておきます。
- 商品:ROLAND A-49-BK
- 参考価格:\19,000 前後
画像:ROLAND A-49-BK
オーディオインタフェース
オーディオインタフェースはステレオ入力、ステレオ出力が可能な最低限のものを選んでみました。
- 商品:Steinberg UR22C
- 参考価格:\18,000 前後
画像:Steinberg UR22C
モニタースピーカー
モニタースピーカーはパワーアンプ内蔵型のスモールモニターを選んでみました。
- 商品:YAMAHA MSP3
- 参考価格:\28,000 前後
画像:YAMAHA MSP3
マイクロホン
歌わない人、アコースティック楽器を録らない人も多いでしょうからマイクは除外しました。
ここまでのところでかかるお金は \120,000 程度です(パソコンを除く)。以下、これらのソフトウェア、機材でどの程度のことができるのかを具体的にまとめてみます。
現在の音楽制作環境がいかに安上がりかがわかると思います。
MIDIシーケンサーとしての性能
Cubase Pro 11のMIDIシーケンサーとしての性能を示すものとして代表的な要素をあげてみます。
- 記録可能な音数:無制限
- トラック数:無制限
- MIDIポート数:プラグイン音源を使う場合はDAW内部的なルーチン設定なので事実上無制限。外部MIDI機器をつなぐ場合は使用するMIDIインタフェースのポート数に依存
シンセサイザーとしての性能
Cubase Pro 11に附属するプラグインMIDI音源のうちドラムに特化しないものについてあげてみます。
音色には好みがあり、用途によって適不適があるので一概にハード音源とは比較できませんが、安上がりである事はイメージできると思います。
- 付属するソフトシンセサイザーの種類:7種(同じものを無制限に複数使用可能)
- プリセットサウンド数:3,000以上
- GM対応:GM対応プリセットあり
ドラムマシンとしての性能
Cubase Pro 11に附属するプラグインMIDI音源のうちドラムに特化したものがあります。
- 付属するドラムマシンの種類:1種(キットおよびパターンプリセットは多数あり)
サンプラーとしての性能
Cubase Pro 11にはサンプラーとしての機能があります。これはサンプラーとして基本的な機能を持ちますが、主に波形データをインポートしてキーボードにマッピングする使い方に主眼を置いているようです。
- サンプリング時間:無制限と考えてよいと思います
MTRとしての性能
Cubase Pro 11のMTRとしての性能を示すものとして代表的な要素をあげてみます。
- トラック数:無制限
- 同時に録音できるトラック数:オーディオインタフェースの入力チャンネル数に依存
ミキサーとしての性能
Cubase Pro 11のミキサーとしての性能を示すものとして代表的な要素をあげてみます。
- チャンネル数:無制限。MIDIトラックやオーディオトラックがそのままミキサーのチャンネルとも言えるため、無制限と言えると考えます。
- トラックあたりのエフェクターインサートスロット数:16
- トラックあたりのエフェクトセンド数:8
- グループチャンネル:256
エフェクターとしての性能
Cubase Pro 11の付属プラグイン・エフェクターの性能を示すものとして代表的な要素をあげてみます。
デジタル・リバーブが庶民の手に届くようになってきたころの価格は10万円くらいでした。これをいくつも買う必要はないわけです。
- 付属エフェクターの数:76種類(同じものを無制限に複数使用可能)
この数は数え方によっては差が出るようです。 - デジタルリバーブだけでも3種類付属。
〔2021.4.26 新規掲載、2021.4.26 最終更新〕