その1:MIDIシーケンスソフトはどう進化したか。DAWとは何か
「4大シーケンスソフト」をご存じの方の中には散財を繰り返し、その挙句に自宅で下図のような機材群を使っていた方も珍しくなかったと思います。
パソコンの高性能化、メモリやハードディスクなどの低価格化、ネットワークの高速化などに伴って、徐々に機能を増やしていったMIDIシーケンスソフトはオーディオ録音用トラックを持つようになります。当然マルチトラックです。
MTRとしての機能を持つようになれば必然的にミキサーの機能やデジタルエフェクターの機能を持つ方向で進化することになります。
その一方でパソコン普及に伴って、シンセサイザーやMIDI音源モジュールをソフトウェアで実現する流れがはびこってきます。 そしてMIDIシーケンスソフトはそれらソフトウェア音源を最初から搭載するようになってきました。
下記の機能を持ったMIDIシーケンスソフトはDAW(Digital Audio Workstation)と呼ばれるようになりました。
- MIDIトラックとMIDI編集機能。これに加えて...
- a.オーディオ録音用トラック
- b.デジタルミキサー
- c.ソフトウェア化された各種デジタルエフェクター
- d.ソフトウェア化されたシンセサイザー
- e.ソフトウェア化されたサンプラー
- f.ソフトウェア化されたドラムマシン
これら a〜f の詳細については後述します。
そんなことで、先に図で示した散財の結晶は今は下図のようなシンプルな形態に変わってきました。
図中の「MIDIキーボード」は「MIDIキーボード・コントローラー」のことで、音源を持たない鍵盤だけのMIDI対応キーボードです。 「オーディオインタフェース」はパソコンへの音声の入出力を行うための機器です。
もちろん従来のハード・シンセサイザーやMIDI音源モジュール、ミキサー、エフェクター等の従来の機材を今日でも使い続ける人はたくさんいます。
しかしながら、必要最小限の機材に限定すれば、DAWを中心に据えることによって、極端にスリムな機材構成が可能になりました。
それこそ90年代頃のDTMシステムである「ミュージ君」「ミュージ郎」などと見た目にはそれほど変わらない機材構成でもボーカル、生楽器を併用したクオリティの高い音楽作品が制作可能になりました。
〔2021.1.24 新規掲載〕