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MIDI:モジュレーション・デプスとピッチ・ベンド・チェンジ

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wheel 通常の鍵盤付きシンセサイザーには、鍵盤の左に写真のような2つのコントローラー(ホイール)が付いています (最近はジョイスティク・タイプのものも多いようです)。これらを操作するとMIDIメッセージが出力されます。

写真の様なホイール・タイプの場合は、手をはなすとスプリングの力で中央に戻る方をピッチ・ホイール、 スプリングの付いていない方(付いているものもありますが、その場合は手をはなすと中央ではなく下方に戻ります) をモジュレーション・ホイールと呼びます。

ジョイスティック・タイプの場合は縦方向がモジュレーション、横方向がピッチをコントロールするように機能します。

ピッチ・ホイール(ピッチ・ベンダーとも呼びます)はその名の通り、音程をなめらかに上下に変化させる為にあります。

モジュレーション・ホイールは通常はビブラートのかかり具合コントロールする為にあります。 ここで、"通常は"としたのは、この"モジュレーション"というのは必ずしも"ビブラートのみ"、 のことを指すわけではない為です。

モジュレーションとは変調のことですが、これはシンセサイザーの場合は"発音中の音に何らかの影響を与える" ことを指します。 その"影響"が、周期的な音程変化であれば"ビブラート"となりますが、別に周期的な音量変化でもよいわけで、 事実、シンセサイザーの場合はこれらをかなり自由に設定することが可能になっています。 ただ、普通はビブラートの深さをコントロールする様に設定されているので、 ここでは"モジュレーション・デプス = ビブラート・デプス" として解説します。

●モジュレーション・デプス(普通はビブラートの深さ)

コントロール・チェンジのコントロール番号の1番がモジュレーション・デプスにアサインされています。 モジュレーション・デプスとして機能する場合のコントロール・チェンジ・メッセージには次の情報が含まれています。

PIANO ROLL

ビブラート効果は主に次の要素で構成されます。

ビブラート・デプス(MIDIメッセージ)でコントロール可能なのは、この"かかり具合(深さ)"のみである点に留意しておきましょう。 また、"深さ"といってもそれは絶対的な深さのことではなく、あくまでも「モジュレーション・ホイールの位置」 を表現したものであることを理解しておく必要があります。ホイールを目いっぱい廻したとき、どの程度のビブラートがかかるか、 は受信側のシンセサイザーの設定に依存してしまうのです。

なお、ビブラート・レートは、別の MIDIメッセージ(コントロール・チェンジのNRPNなど)でコントロールすることが可能ですが、 これは、メーカーによって異なるようです。コントロール・チェンジのNRPNについては後で解説します。

ビブラートを解説するときに"LFO"という用語が出てくる場合があります。 これは低周波発振器(ロー・フリケンシー・オシレータ)のことで、低い周波数の電気信号を発生させます。 シンセサイザーではこの電気信号を利用することによって、音声を"くすぐる"ようにして、ビブラート効果を演出します。
ビブラート・デプスは"くすぐる強さ"をコントロールすることでであり、 ビブラート・レートはこの"LFO"の周波数をコントロールする、ということです。

●ピッチ・ベンド・チェンジ

ピッチ・ベンド・チェンジは発音中の音色の音程を滑らかに上下させるための MIDIメッセージで、 キーボードの左に装備されているピッチ・ホイールを回したとき(ジョイス・ティック・タイプの場合は水平方向に動かしたとき)に出力されます。 これはコントロール・チェンジではありません。

ピッチ・ベンド・チェンジ・メッセージには次の情報が含まれています。

PIANO ROLL

この効果はギターなどの、音程を滑らかに変化させることの出来る楽器のシミュレートにおいて不可欠のMIDIメッセージです。

ただし、ピッチ・ベンド・チェンジはあくまでも、ピッチ・ホイールをどの程度回したか(正確にはホイールの位置) 伝達するための MIDIメッセージなので、例えばホイールをいっぱいに回したときに、何音分上下するか(ピッチ・ベンド・レンジ)は、 受信側のシンセサイザーの設定に依存します。

ちなみに、ピッチ・ベンド・レンジは、別の MIDIメッセージ(コントロール・チェンジのRPN)でコントロールすることが可能ですが、 これについては後で解説します。 通常のシンセサイザーでは工場出荷状態では、ホイールをいっぱいに回したときに2半音(半音2つ分)変化するように設定されているのが殆どのようです。